最後の 最後の 花火が終わったら

あの頃、どんな曲を聴いていたかなんて
忘れてしまうほど、
毎日を繰り返し、繰り返して

それでも、忘れられない
風景が、
一瞬が、

きっとあなたにも、わたしにも。





そんな日のことを書きたいと思います。







17時の鐘で
「さよなら」と手を振りあっていた仲間と、
17時にいつもの坂の下で、と数年ぶりに会う約束をしていた。夏祭りの日だった。


まだ大人でもなければ、子供と言えるほど子供でもないわたし達は、あの怖かった先生はどこに行ったとか、後輩が何をしているとかそんなことを話しては、驚いたり、変わったねと笑ったりしていた。


わたし達が一番変化していたんだ。
今はもう知ってるみんなじゃないって
本当は気づいてたのに、気づかないふりをしていた。
みんながみんな、お互いに。



小さな町。大好きな町。
海と山に囲まれた、坂の多い町。

ここだけ時計が止まったみたいに、
とっても静かな町だった。




だけど確かに、
喜びも悲しみも、
楽しさも辛さも、
全部この場所で知った。


あの頃のわたしたちは、この町が全てで。


だけど今は、
離れていても、戻って来れる町が、この町なんだ。


昔のようにバカみたいなことをして笑ったり、時にはこの先どうするの?って真剣になったり、その全部がわたし達が少しずつ大人になっていることを実感させたけど、町も、みんなも含めて好きなんだなぁとか、考えて。





ふと、軽トラックが横切った。




軽トラの荷台、私は目を離せなかった。







君がいた。






どんなに人がいても、目が合ってしまった。
ほんの数秒だったのに、目が合ってしまった。





もう、会わないと思っていた人。
もう、会えないと思っていた人。








「どうしたのー?」


「ううん。なんでもない」



この町に残した君との記憶は
全部、全部消せなくて、消したくなくて。

最後になるなんて思ってなかった最後を悔やんでも悔やみきれなくて。


全てが遠くなって、夢だったんだって思うくらい、一生会えないと思っていた。


それくらい、私達の時計は進んでいると思っていた。

なのに、なのに。





あー、好きだったんだなぁ。

と、君に背を向けた。












あれから、あの町の花火を見る機会はなかった。

きっとこの先も、無いのだろう。
私のすべては、ここだけじゃ無いから。






同じ空を、見てたんだね。












LINEモバイルのCM、良いですよね、
なんだか聴いたことがあるなぁと思ったら、昔からある曲だったと知って。
夏はなんだか切ないな、


今年の最後の花火は、いつになるんだろう。